今年2024年は1924年のアンドレブルトンのシュールレアリスム宣言から100周年。
1924年のアンドレ・ブルトンのシュールレアリスム宣言を後押しした要因は2つ。1つはマルクス主義に基づくロシア革命による共産主義の社会統制的な傾向と労働至上主義的価値観への反発。反発した理由はアンドレ・ブルトンが「労働よりも精神の自由と想像力に価値をおいた」から。もう1つはフロイトの無意識の発見。アンドレ・ブルトンはフロイトやその影響下の精神分析について深く理解をしていました。そして、無意識が精神の自由と想像力、ひいては創作活動に及ぼす肯定的な影響を意識していました。
シュールレアリスムの勃興期には、活力や人間の表現活動やコミュニケーションの変容、階級社会や男女差別などの倫理や道徳をも問い直すような世界史的なダイナミズムがありました。そして、シュールレアリスムの普及の結果、私たちは無意識や無意識の持つ可能性や力に気づきました。そして、新たな芸術やSFやビジュアル表現やユーモアのセンスや漫画や音楽やファッションなどを創造してきました。これが、2024年現在の日本のアニメや漫画やアイドルやゲームなどのオタク文化やアメリカのハリウッド映画やフランスの独特な映画や文学や思想などの背景にあるかもしれません。これは産業や経済や政治だけでなく個々人の日常生活や幸福とも関係があるかもしれません。
スマホとSNSとインターネットの普及過程の2024年現在、LLMやマルチモーダル生成AIやAIロボットの社会実装の進展が進んでいます。それに伴い、人間の表現活動やコミュニケーションの変容や新たな感性が生まれつつあると思います。人間の表現活動や感性の変化は、世界史的なダイナミズムと相互に影響を与えあっていると思います。ここでいう世界史的なダイナミズムとは、例えば、中国・インド・グローバルサウス等の台頭、日本などの先進国の少子高齢化と将来への財政的不安、資本主義への反省、ではないかと思います。人間の感性と世界史的なダイナミズムの相互の影響が無意識のレベルで起きている点において、1924年頃と2024年頃は類似性や同質性があると思います。ここでいう類似性や同質性とは、社会科学的、暗喩的、直観的、な文脈においてです。
2024年現在、AIモデルの”transformer”のパラメータ”temperature”の値を大きくした場合に生成されるコンテンツは意味不明でシュールとも感じますが、それが人間に新鮮な感動を与え新たな創造のinspirationになっている側面もあると思います。
したがって、今後100年の行く末をイメージし、その中で実存として精神の自由と時代との調和を重んじて生きていくにあたって、1924年に至る世界や人類や生活の変化のストーリー、を豊かにイメージすることはひとつのアプローチだと思います。もちろん、1924年から2024年に至る変化のストーリー、を豊かにイメージすることもひとつのアプローチだと思います。
LLMやマルチモーダル生成AIやAIロボットの社会実装の進展に伴い、私たちは無意識や無意識の持つ可能性や力に再度気づくと思います。そして、新たな芸術やSFやビジュアル表現やユーモアのセンスや漫画や音楽やファッションなどを創造していくかもしれません。これは産業や経済や政治だけでなく個々人の日常生活や幸福とも関係があるかもしれません。
2024年現在、LLMやマルチモーダル生成AIやAIロボットの社会実装は、技術や経済の文脈で語られることが多いと思います。おそらくChatGPT等の生成AIが技術的に珍しく、株価や雇用に既に影響を与えているからだろうと思います。
しかし、2025年以降、LLMやマルチモーダル生成AIやAIロボットの社会実装は、シュールレアリスム運動のように、人間の精神の自由と想像力や新しい人間活動の文脈で新たな展開をみせるのではないかと思います。そのまったく新しい人間活動にはコミュニケーションや表現・鑑賞活動が含まれると思います。喜怒哀楽のような人間の基本的な情動とその心身や脳のメカニズムは有史以来あまり変わらないと思います。しかし、外形的には芸術運動・文化運動として変化は継続すると思います。
もしそれに僅かでも関わることができたら寿命が短くても長くても満足できる気も少しします。
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